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2025.07.07
【完全ガイド保存版】パネライとマリーナミリターレの深い絆 ~歴史、関係性、そして伝説のモデルたち~
【完全ガイド保存版】パネライとマリーナミリターレの深い絆 ~歴史、関係性、そして伝説のモデルたち~
時計愛好家なら一度は耳にしたことがあるであろうパネライ(PANERAI)。その独特の存在感と無骨なデザインは、多くの人々を魅了してやみません。
そして、そのパネライと切っても切り離せないのが、マリーナミリターレ(Marina Militare)という言葉です。イタリア語で「海軍」を意味するこの言葉は、パネライの歴史と魂そのものと言っても過言ではありません。
今回は、パネライとマリーナミリターレの知られざる歴史、両者の深い関係性、そして伝説となったマリーナミリターレモデルの数々を徹底的に掘り下げていきます。
パネライの黎明期とイタリア海軍との出会い
パネライは1860年、ジョバンニ・パネライがフィレンツェに時計店を開業したことから始まります。当初は輸入時計の販売や修理、精密機器の製造を行っていました。
夜光塗料の開発と軍事利用
パネライの運命を決定づけたのは、グイド・パネライが開発した革新的な夜光塗料「ラジオミール(Radiomir)」でした。これは、ラジウムをベースにした自発光性の物質で、暗闇での高い視認性を実現しました。
イタリア海軍からの要請
第一次世界大戦の頃から、イタリア国防省(後のイタリア海軍)は、潜水部隊や特殊作戦部隊(フロッグメン)のための水中計器や高精度な時計を求めていました。特に、極秘の水中作戦では、暗闇での視認性と堅牢性、高い防水性が不可欠でした。
マリーナミリターレ(Marina Militare)の歴史
マリーナミリターレ(Marina Militare)とは、文字通りイタリア海軍のこと。
地中海に囲まれた海洋国家であるイタリアにとって、海軍は国家防衛の要であり、その歴史は中世の海洋都市国家にまで遡ります。
統一イタリアとしての海軍が発足したのは1861年。以来、イタリア海軍は地中海の制海権を巡る激しい戦いを繰り広げ、特に第二次世界大戦では、その名を世界に轟かせました。
特殊潜水部隊「デチマ・マス」への供給
パネライとイタリア海軍の結びつきが最も強まったのは、第二次世界大戦中のことです。
イタリア海軍は、敵艦船を秘密裏に攻撃するための特殊潜水部隊「デチマ・マス(Decima Flottiglia MAS)」を編成しました。
この部隊は、人間魚雷(SLC:Siluro a Lenta Corsa 低速魚雷)、ポケット潜水艦、特攻ボートなどの特殊兵器を駆使し、大胆な奇襲作戦を実行しました。
このような過酷な任務を遂行するためには、最高の精度と堅牢性を備えた計器類が不可欠でした。そこで白羽の矢が立ったのが、フィレンツェの精密機器メーカー、パネライだったのです。
パネライ(PANERAI)とマリーナミリターレ(Marina Militare)の関係性
パネライとイタリア海軍、特にデチマ・マスとの関係は、単なるサプライヤーと顧客を超えた、まさに共存共栄の歴史です。
ラジオミール(Radiomir)ウォッチの開発
デチマ・マスのような特殊部隊の要請に応え、パネライは1938年頃、初の本格的な軍用ダイバーズウォッチ「ラジオミール」を開発しました。この時計は、以下の特徴を持っていました。
高い視認性
ラジオミール塗料を使用した大きなアラビア数字とバーインデックスにより、水中や暗闇でも正確な時刻を確認できた。
堅牢性
過酷な環境に耐えうる頑丈なケースと構造。
高い防水性
当時の技術では画期的な防水性能(多くはロレックス製の防水ケースをベースにパネライが改良を加えた)。
大型ケース
潜水服の上からでも装着しやすいよう、当時の一般的な時計よりもはるかに大きな47mmのケース径を採用。
ワイヤーループラグ
ストラップを固定するためのワイヤーループラグは、溶接でケースに固定されており、信頼性が高かった。
ルミノール(Luminor)の開発
ラジウムベースのラジオミールは放射性物質であるため、より安全な代替品として、1940年代後半にはトリチウムベースの夜光塗料「ルミノール(Luminor)」が開発されました。
ルミノールは、その輝度が持続する特性から、特殊部隊のニーズにさらに合致しました。これに伴い、パネライの時計は、特徴的なリューズプロテクターを備えた「ルミノール」ケースへと進化しました。
このリューズプロテクターは、リューズをしっかりとケースに押し付けることで、水分の浸入を完全に防ぐ画期的な機構でした。
マリーナミリターレ(MARINA MILITARE)の刻印
当時、イタリア海軍に納入されたパネライの時計の中には、軍事機密の性質上、文字盤に「PANERAI」のブランド名ではなく、単に「MARINA MILITARE(海軍)」とだけ刻印されたものが多数存在しました。
これは、パネライがイタリア海軍の公式サプライヤーであり、その技術と信頼性が国家レベルで認められていた証です。
軍事機密としての時代と民生転用
第二次世界大戦後も、パネライは長らくイタリア海軍をはじめとする各国の海軍(エジプト海軍など)に時計や精密機器を独占的に供給し続けました。
しかし、その技術と製品は軍事機密として厳重に管理され、一般市場にはほとんど出回ることはありませんでした。
民生市場への参入
1990年代に入り、冷戦終結などの世界情勢の変化に伴い、パネライは軍事機密としての制約が緩和され、一般市場への参入を模索し始めます。
1993年に初の市販モデルを発表し、その独特の大型ケースと堅牢なデザインは、瞬く間に時計愛好家の注目を集めました。
リシュモン・グループ傘下へ
1997年、パネライは現在のリシュモン・グループの傘下に入り、世界的な高級時計ブランドとして本格的に展開を開始しました。
現代のパネライとイタリア海軍の遺産
現代のパネライは、イタリア海軍との歴史的なつながりをブランドの根幹としています。
デザインへの継承
現行の「ラジオミール」や「ルミノール」シリーズは、当時の軍用時計のデザインコードを色濃く受け継いでいます。
大型のクッションケース、特徴的なリューズプロテクター、サンドイッチ文字盤(二重構造の文字盤で、下層の夜光塗料が上層のくり抜かれたインデックスから光る構造)などは、すべてイタリア海軍の要求から生まれた機能的なデザインです。
タフネスと革新
イタリア海軍が求めた極限状況下での性能は、現在のパネライの時計作りにも息づいています。高い防水性、耐衝撃性、優れた視認性など、パネライの時計は常に「タフネス」と「実用性」を追求しています。
マリーナミリターレモデル
現在でも、パネライはイタリア海軍への敬意を表し、「マリーナミリターレ」の名称を冠した特別モデルや限定モデルをリリースしています。
これらのモデルは、ミリタリーグリーンやブルーの文字盤、海軍のエンブレムの刻印など、イタリア海軍との強い結びつきを象徴するデザインが特徴です。
過去にリリースされたマリーナミリターレ(Marina Militare)モデル一覧
パネライは、その歴史への敬意を表し、現在も「マリーナミリターレ」の名を冠したモデルをリリースしています。ここでは、過去にリリースされた代表的なモデルや、その特徴を見ていきましょう。
PAM00036 ルミノール マリーナ ミリターレ – 44mm(Luminor Marina Militare)
1999年に発表された世界限定200本のチタンケースモデル。ブラウンの文字盤とヴィンテージ感あふれるルミノールケースが特徴です。
PAM00082 ルミノール マリーナ ミリターレ – 44mm(Luminor Marina Militare)
2000年に発表された世界限定300本のステンレススティール製モデル。ブルーの文字盤に「MARINA MILITARE」の表記が映える一本です。
PAM00217 ルミノール マリーナ ミリターレ – 47mm(Luminor Marina Militare)
2005年に発表された世界限定1000本のモデル。47㎜ケースのレフトハンドモデル。文字盤の「MARINA MILITARE」のロゴが特徴的です。
PAM00339 ラジオミール コンポジット マリーナ ミリターレ 8ジョルニ – 47mm(Radiomir Composite Marina Militare 8 Giorni)
2010年に発表された世界限定1500本のモデル。革新的なコンポジット素材をケースに採用し、軽量性と堅牢性を両立しています。歴史的なラジオミールデザインに最先端素材を融合させた一本です。
PAM00587 ラジオミール1940 3デイズ マリーナミリターレ アッチャイオ – 47mm(Radiomir 1940 3 Days Marina Militare Acciaio)
2014年に発表された世界限定1000本のモデル。ヴィンテージ感あふれるラジオミール1940のクッションケースに、P.3000手巻きムーブメントを搭載。文字盤の「MARINA MILITARE」の筆記体がクラシカルな雰囲気を醸し出しています。
PAM00673 ルミノール 1950 マリーナ ミリターレ 3デイズ アッチャイオ(Luminor 1950 Marina Militare 3 Days Acciaio)
2016年に発表された世界限定1000本のモデル。サンドイッチ文字盤の夜光塗料にヴィンテージ感を演出する「エクリュ」カラーを採用し、歴史的モデルの雰囲気を再現しています。
PAM00961 サブマーシブル マリーナミリターレ カーボテック エクスペリエンス – 47mm(Submersible Marina Militare Carbotech™)
2019年に発表された33本限定のエクスペリエンスモデルで、現代のパネライを象徴するダイバーズウォッチ「サブマーシブル」にマリーナミリターレの魂を吹き込んだ一本。カーボテック製ケースに、イタリア海軍の特殊部隊「COMSUBIN」のエンブレムが刻印されており、その連携の深さを感じさせます。
COMSUBINとは?
イタリア海軍が世界的に高い評価を受ける特殊部隊名
COMSUBIN (Comando Subacquei ed Incursori:潜水奇襲攻撃部隊)
潜水員(Subacquei)と襲撃員(Incursori)からなる部隊で、その能力はイギリス海兵隊SBSやアメリカ海軍Navy SEALsに匹敵すると言われています。水中からの浸透、破壊工作、対テロ作戦などを担当します。PAM00979 (PAM02979)サブマーシブル マリーナミリターレ カーボテック – 47mm(Submersible Marina Militare Carbotech™)
2019年に発表されたモデルで、現代のパネライを象徴するダイバーズウォッチ「サブマーシブル」にマリーナミリターレの魂を吹き込んだ一本。カーボテック製ケースに、イタリア海軍の特殊部隊員が刻印されており、その連携の深さを感じさせます。文字盤にもカーボンを採用しブラックにまとめられた男らしいモデル。
PAM01238 サブマーシブル フォルツスペシャリ エクスペリエンス – 47mm(Submersible Forze Speciali)
2022年に発表された50本限定のエクスペリエンスモデル。チタンにDLCコーティングを施した軽量かつ堅牢なケースを採用し、スポーティでありながらも、パネライの歴史を感じさせるデザインが特徴です。グリーンベゼルにレッドが目を引くモデル。
PAM01239 (PAM02239)サブマーシブル フォルツスペシャリ – 47mm(Submersible Forze Speciali)
2022年に発表されたモデルで、チタンにDLCコーティングを施した軽量かつ堅牢なケースを採用し、スポーティでありながらも、パネライの歴史を感じさせるデザインが特徴です。ブルーベゼルにイエローが目を引くモデル。
PAM01699 サブマーシブル クロノ マリーナ ミリターレ エクスペリエンス エディション – 47mm(Submersible Chrono Marina Militare Experience Edition)
2025年に発表された最新の35本限定のエクスペリエンスモデル。パネライの「エクスペリエンス エディション」として、購入者にはイタリア海軍特殊部隊のトレーニングに参加する機会が提供されます。チタン製のタフなクロノグラフで、実際の軍事訓練を体験できる唯一無二のモデルです。
様々なマリーナミリターレモデルが限定生産されており、コレクター垂涎の的となっています。いずれも、そのデザインや機能性にイタリア海軍の精神が色濃く反映されているのが特徴です。
まとめ
パネライとマリーナミリターレの関係は、単なるブランドと軍の歴史にとどまりません。それは、極限状況下で最高のパフォーマンスを発揮するための技術革新と、それを支える揺るぎない信頼関係の物語です。
パネライの時計を手に取る時、それは単なる時間を計る道具ではなく、イタリア海軍の勇敢なフロッグメンたちが、暗闇の海でミッションを遂行した情熱と歴史を感じ取ることができるでしょう。パネライのタフネスと機能美は、まさにマリーナミリターレとの絆が生み出した結晶なのです。
パネライの時計に興味を持った方は、ぜひこの奥深い歴史的背景にも触れてみてください。きっと、あなたの時計選びがさらに豊かなものになるはずです。
パネライ購入ガイドはこちらをご覧下さい。
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パネライのシリーズを知りたい方はこちらをご覧下さい。
パネライの豆知識はこちらをご覧ください。
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