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【ゼニス】ルパン三世×ZENITH:次元大介が愛した時計「A384」とコラボモデルに秘められた物語
はじめに:なぜ「ゼニス×ルパン三世」コラボは時計界の伝説となったのか?
時計愛好家とアニメファン、一見すると交わることのない二つの世界が、ある奇跡的なコラボレーションによって結びつきました。それが、スイスの老舗時計ブランド『ゼニス』と、日本が誇る不朽の名作アニメ『ルパン三世』の限定コラボレーションモデルです。この異色の組み合わせは、発表されるやいなや時計界に大きな衝撃を与え、瞬く間に伝説となりました。なぜこれほどまでに多くの人々を魅了し、熱狂させたのでしょうか?
その理由は、単なるキャラクターコラボレーションに留まらない、深い背景とストーリーが秘められているからです。物語の鍵を握るのは、ルパン三世の相棒であり、クールでダンディなガンマン、次元大介。
アニメ「ルパン三世」第1シリーズ第1話『ルパンは燃えているか?!』の劇中で2度、ゼニスをモチーフにした時計を腕に着けている場面がありました。「A384」にインスパイアされたこの腕時計は、アニメの中だけで見られており、アニメ放送時には存在していませんでした。
そして2019年、ゼニスはこの次元大介が劇中で着用していた時計を忠実に再現した「A384 リバイバル ルパン三世 エディション」を発表。これは単なる偶然の産物ではなく、アニメ制作陣とゼニスとの間に存在した、時を超えた運命的な繋がりが具現化した瞬間でした。
ゼニス ルパン三世エディション全モデル徹底解説
―第一弾:伝説の始まり「A384 リバイバル ルパン三世 ‐ ファースト エディション 」―
品番:03.L384.400/27.C815
2019年に発表された記念すべき第一弾は、アニメ「ルパン三世」に登場する次元大介の時計を忠実に再現したモデルです。最も特徴的なのは、漆黒の文字盤に配されたグレーのインダイヤル。これは、アニメの初期設定画や作中に描かれた時計の雰囲気を完璧に捉えています。ケースは、オリジナルの「A384」をそのまま37mm径で忠実に復刻したトノー型で、素材はステンレススティール。ムーブメントには、「エル・プリメロ 400」を搭載しています。
サファイアクリスタルをセットしたスティールケースバックにはお馴染みのハットをかぶった次元大介のシルエットが印刷されており、コラボレーションを象徴する特別な一本となっています。
発表されるやいなや、世界中の時計愛好家とルパン三世ファンの間で大きな話題となりました。日本市場でのみの販売に加え、限定数はわずか50本という希少性も相まって、瞬く間に完売。発売後もその人気は衰えませんでした。
―第二弾:劇中モデルを忠実に再現「クロノマスター リバイバル ルパン三世 – セカンド エディション」―
品番:03.L384-2.400/07.M384
2020年に世界限定200本で発売された第二弾は、第一弾とは異なり、アニメ「ルパン三世」 第1シリーズ最終話『黄金の大勝負!』の冒頭で次元大介が着けていたブレスモデルを再現しました。ふたつの異なるゼニスを次元が着用していたことは、ルパン三世の長い歴史の中でもあまり知られていない事実です。
©モンキー・パンチ/TMS・NTV
この第二弾モデルも、リバースエンジニアリングによりアニメ本編で表現されていた時計を再現、ユニークな形状の37mmステンレススティールケース、「エル・プリメロ400」を搭載し、ブレスレットには当時採用していたゲイ・フレアー社のラダー(梯子)ブレスレットを復刻しています。
―第三弾:三部作のラストを飾る「クロノマスター リバイバル ルパン三世 – ファイナル エディション」―
品番:95.L384.400/50.M384
2022年に発表されたシリーズ最終章となる第三弾は、最も大胆でユニークなデザインが特徴です。
250本限定のこのモデルは、2つの文字盤を組み合わせています。アニメの第1シリーズの第1話と最終回に登場したゼニス クロノグラフのすべての要素が盛り込んであり、独特なアシメントリーのデザインで、半分に分かれた文字盤が特徴です。半分は、第一弾「A384 リバイバル ルパン三世」の半光沢のブラックの文字盤に深みのあるグレーのカウンターとゴールドアプライドマーカーと針を配し、残りの半分は第二弾のクリーミーホワイトの文字盤に、コントラストが効いたベージュのスーパールミノバを塗布し、「パンダ」の形となるコントラストが効いたブラックのカウンターを配しています。
この比類のなき文字盤は、1969年のA384のプロポーションと仕上げを再現した37mmのチタン製トノー型ケースに収められています。ゲイ・フレアー社によってデザインされたチタン製ラダーブレスレットが特徴で、レトロな雰囲気を醸し出しています。
―ルパン三世 アニメ化 50周年を記念した「クロノマスター リバイバル ルパン三世 50th Anniversary Edition」-
第一弾モデルと同じく50本の日本限定モデル。次元大介がアニメ『ルパン三世』の第1話で着用していた時計に、当時採用していたゲイ・フレアー社のラダーブレスレットを復刻、シースルーバックにはアニメ化50周年記念ロゴがデザインされています。
―世界に一本!?「クロノマスター リバイバル ルパン三世 The One – OFF」―
品番:03.L384-0.400/20.M384
「クロノマスター リバイバル ルパン三世 The One – Off」はアニメシリーズで次元大介が着用する時計を正確かつ忠実に再現したものです。A384をベースとしたこの作品は、金箔の印字を施した斬新なブラックの文字盤をそなえています。マーカーはとても小さく、取り付けたというよりも印字したという方が明らかにふさわしい大きさで、ゼニスのロゴの「Z」と「H」の文字が暗い色彩で目立たなくされていました。
この作品は、影響力のあるアニメシリーズに着想を得たクロノマスターのなかでも最新かつ最も稀少な一点ものです。
2020年11月8日(日)、オークションハウスのフィリップス(Phillips’ in Association with Bacs & Russo)が主催する「レトロスペクティブ 2000‐2020」がジュネーブで開催され、この作品がCHF 189’000 (約2200万円) で落札されました。―おまけ:現行モデル「クロノマスター リバイバル A384」-
品番:03.A384.400/21.M384
ルパン三世 モデルのもととなったオリジナルの「A384」を忠実に再現した現行モデルです。1969年製のエル・プリメロ高振動自動巻クロノグラフキャリバー「エル・プリメロ400」を搭載しています。
ゼニスが誇る伝説のムーブメント「エル・プリメロ」
ゼニスとルパン三世のコラボレーションモデルの魅力を語る上で、決して避けて通れないのが、その心臓部であるムーブメント「エル・プリメロ」の存在です。このムーブメントこそが、ゼニスを時計界のトップブランドの一つに押し上げた立役者であり、今回のコラボレーションモデルに「伝説」の称号を与えるにふさわしい奇跡の技術なのです。
―「エル・プリメロ」とは?その歴史と技術革新の軌跡―
「エル・プリメロ(El Primero)」とは、スペイン語で「No.1」や「最初」を意味します。その名の通り、1969年にゼニスが発表したこのムーブメントは、世界初の自動巻き一体型高振動クロノグラフムーブメントとして、時計史にその名を刻みました。当時、世界中の時計メーカーが自動巻きクロノグラフの開発競争を繰り広げていましたが、ゼニスは他社に先駆けて、そして最も先進的な技術を搭載してこの偉業を成し遂げたのです。
一般的なクロノグラフが毎時28,800振動(8振動/秒)であるのに対し、エル・プリメロはより細かく時間を刻むことができるため、1/10秒単位での計測が可能となり、クロノグラフとしての精度を飛躍的に向上させました。
しかし、この革新的なムーブメントの開発は決して平坦な道のりではありませんでした。高振動化は部品の摩耗を早めるリスクを伴うため、素材の選定や潤滑油の開発など、数々の技術的課題を克服する必要がありました。さらに、1970年代のクォーツショックの際には、エル・プリメロの製造設備が破棄されそうになる危機に直面しますが、ゼニスの時計職人シャルル・ベルモ氏の尽力によって金型や設計図が密かに保存され、1980年代の機械式時計復興期に奇跡的な復活を遂げました。このドラマチックな歴史もまた、「エル・プリメロ」を伝説たらしめる要因となっています。
―ルパン三世コラボモデルに搭載される「エル・プリメロ」の優位性―
ルパン三世コラボの各モデルには、この伝説的な「エル・プリメロ400」ムーブメントが搭載されています。
エル・プリメロ400 ムーブメント
近年、キャラクターコラボレーションウォッチが様々な時計ブランドから発売されていますが、クォーツ時計や、機械式であっても比較的入手しやすい価格帯で作られているものが多い印象です。このことからも、ゼニスとルパン三世のコラボは単なるコラボレーションウォッチとは一線を画し、本格的な機械式時計としての価値があると言えるでしょう。
ゼニスとルパン三世のコラボレーションモデルは、単に外見が美しいだけでなく、その内部に「エル・プリメロ」という時計史に残る偉大なムーブメントを宿すことで、時計愛好家を深く納得させる説得力と、比類なき価値を兼ね備えているのです。まさに、技術と芸術、そして物語が融合した奇跡の結晶と言えるでしょう。
コレクター垂涎のルパン三世モデル、次回コラボの可能性は?
ゼニスとルパン三世の限定コラボレーションモデルは、その発表以来、瞬く間に完売し、現在では時計コレクターやルパン三世ファン垂涎のアイテムとなっています。少ない限定数であったこと、そして時計愛好家とアニメファンの両方から熱狂的な支持を得たことから、発売直後から二次流通市場での価格は高騰しました。今から新品を手に入れることは、まず不可能でしょう。
そうなってくると気になるのは、次回コラボの可能性です。
ゼニスとルパン三世のコラボレーションは、次元大介の時計をテーマにした3部作が完結しました。既に完売したモデルを再販することはまずないと考えられますが、『ルパン三世』の絶大な人気と、コラボモデルに対する根強い市場の需要を考慮すると、次回コラボの可能性が全くないとは言い切れません。
現時点での公式発表はありませんが、ファンからの期待は非常に高く、今後のゼニスの戦略が注目されます。
次回作が出たら絶対に手に入れたい!という方はぜひ公式HPやTANAKAのブログをこまめにチェックしてくださいね!
この記事を書いた人
最後まで読んでくださりありがとうございます。
TANAKA久屋大通店の矢野です。
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