人類がもって生まれた夢「ビッグ・パイロット・ウォッチ」
IWCのお問い合せは、正規販売店TANAKA WATCH GALLERY 丸の内店
052-951-1600まで
飛行の物語は、1903年12月17日に始まりました。オーヴィルとウイルバーのライト兄弟が、エンジンで駆動する最初の飛行機を操縦しました。時間はわずか12秒間でしたが、35メートルという飛行距離によって、二人の名は歴史書に書き残されることになります。この飛行が、航空技術における急速な進歩の原点となったからです。1909年、ルイ・ブレリオは英仏海峡を横断し、そして1913年、スイスの飛行家オスカー・ビダーは、エンジン付きの飛行機でアルプスを横断した最初の人になりました。軍事目的ではなく、新しい航空輸送路の確立という意味で最も目覚ましい業績を残したのが、1927年に西から東への大西洋無着陸横断飛行を成功させたリンドバーグです。空の時代の黎明期に、時間を把握するにはその場その場の敏速さが求められました。
航空産業のパイオニアたちはポケットウォッチの助けを借りてどうにか切り抜けていました。その多くはIWCで作られたものです。これは必ずしも実用的とは言い難く、そこでIWCは1930年代に本格的な研究開発に着手します。こうして1936年パイロット用に特別に製作された腕時計は、ブラック・ダイヤルに夜光塗料を施したハイコントラストの針と数字、矢印のマーカーの付いた回転式ガラス・ベゼルやスモールセコンドを備えていたほか、耐磁性ムーブメントを搭載し、安全ガラスも付いていました。
1940年以来、IWCは一つの独立したタイプのパイロット・ウォッチ52 S.C.を作り始めました。堂々たる183gの重量、直径55mmのケースという、IWCがこれまで製作した中で最も大型のこの腕時計は、クロノメーターに要求されるあらゆる条件を満たし、ナビゲーションウォッチやデッキウォッチと呼ばれる時計に必要な特殊な基準にも適合していました。飛行目的には大きなセンター秒針が不可欠です。このムーブメントにはそれを動かすための駆動装置が組み込まれていました。また、巨大なサイズと大きくずんぐりしたリューズの他にも、この腕時計には長いレザー・ストラップという非常に顕著な特徴があります。操縦席に座ったパイロットがフライトジャケットの上から時計を腕に巻き付けていたからです。デザインは、飛行機の読み取りやすいコックピット計器と同様、必要最小限の要素のみで、あくまでも実用性を最優先しています。
ユンカースJu52のコックピットは、シンプルなデザインの典型でした。故障がきわめて少なく驚くほど信頼性の高い飛行機としてユンカースJu52が圧倒的な評価を得たのは、基本設計にIWCのパイロット・ウォッチと同様の考え方があるからです。デザインを改良する場合、さらに計器を付け加えようとは誰も考えません。
むしろ肝心なのは、何を省き、デザインをいかにシンプルにするかです。それは飛行機の軽量化を目指すからです。また、簡潔な設計なら整備も容易です。
ユンカースJu52は、IWCのパイロット・ウォッチと多くの共通点を持ち、その優れた機能性によって航空の世界に伝説を残しました。1948年から1984年まで製造された「MarkXI(マーク・イレブン)」は、IWCの歴代パイロット・ウォッチの中でもおそらく最も有名なモデルでしょう。この時計は、ムーブメントを磁気から保護するために、ケース内部に軟鉄製のインナーケースを備えた初のパイロット・ウォッチです。この構造のお陰で、英国空軍をはじめとして、他にもいくつかの空軍戦闘機部隊や民間航空から多数の注文を受け、世界中で愛用されてきました。このモデルは、近年に至ってコレクターの間で崇拝される時計となっています。その当時に開発された手巻きのキャリバ−89は、最も美しいというだけでなく、最も複雑でなおかつ正確なムーブメントの一つでした。その結果、1950年代とそれに続く時代に製造されたこれらの時計は、当時の高度な精度を今日でもたやすく調整することができるのです。
パイロット・ウォッチの伝統に続いて加わったのが、1988年に発表されたセミ・メカニカルクロノグラフの「フリーガー・クロノグラフ」です。これに続いて1992年には自動巻きムーブメントにスプリットセコンド機能を搭載した「ダブル・クログラフ」、1993年には待望の「MarkXII(マーク・トウェルブ)」が登場します。「MarkXl(マーク・イレブン)」の現代的な後継モデルとして作られたこの時計は、自動巻きムーブメントを用い日付表示が加えられました。
IWCは、パイロット・ウォッチで成功を収めたにもかかわらず、新しいモデルの開発を怠ることはありませんでした。1998年、IWCは数年間におよぶ研究開発の末、新しいモデルを発表しました。これが、「フリーガーUTC」です。UTCとは、ユニバーサル・タイム・コーディネイテッド(協定世界時間)を略したものです。すなわちこの時計は協定世界時間を採用し、利用者が世界の旅に出かけたときには、リューズを回すだけで、時間帯の変化に応じて時刻や日付の変更が自由に行えます。また、現在の時刻とともに、文字盤に設けられた第二時間帯用の窓には、利用者が選んだ別の地域の時刻を表示することができます。
IWCは、大型メンズ・ウォッチの需要にも応え、1940年代の伝説のパイロット・ウォッチを原型にした「ビッグ・パイロット・ウォッチ」を発表しましたが、開発の本当の理由は別にあります。それは、キャリバー5011を、自社で作られた現行のムーブメントの中で最も高い性能を備えるムーブメントにしようという野心です。しかし、「ポルトギーゼ・オートマティック2000」とは異なり、「ビッグ・パイロット・ウォッチ」の場合、サファイアガラスによるシースルーパックはありえません。というのも、ステンレススティールまたはプラチナ製のケースの内部にもう一つの軟鉄製インナーケースが収められ、ムーブメントを磁気から保護しているからです。



