中断を余儀なくされた半世紀を経て新しい時代のランゲ時計に、ランゲ&ゾーネ本来の輝かしい地位が蘇った。 そして第2次世界大戦径、彼は一家のビジネスに加わり、爆撃で破壊された工場の再建に取り組みましたが、工場は1948年4月20日、東ドイツ政府に接収されてしまいました。
ウォルター・ランゲはウラニウム鉱山の強制労働から逃れて、西側に亡命しました。そして兄のフェルディナント・アドルフとともにランゲ&ゾーネの再建を試みたものの、最初の試みは失敗に帰しました。彼が故郷のグラスヒュッテに定期的に戻ることが許されたのは1976年以降のことです。
やがて東西ドイツが再統一に向けて動き出し、ウォルター・ランゲも再びランゲ&ゾーネの復興を試み、今度はそれを現実のものにしました。そしてランゲ&ゾーネ社は、1990年12月7日にグラスヒュッテで会社登記を済ませ、それとともに、そのすぐれた時計の文字盤に再び刻まれるランゲ&ゾーネの商標を登録しました。一方、グラスヒュッテで腕をふるう機会を待っていた職人たちは、新生ランゲに集まり、シャフハウゼンのIWCから援助を得て、ついに新しいランゲ・アンド・ゾーネ社が動きはじめました。こうして4年の準備期間を経て新しい工房が誕生しました。
「皆様に感謝いたします」
「新生ランゲの時計として、このような素晴らしい機械式時計を提供することができ、うれしく思っています。これは私にとって生涯の夢でした。1989年までは、とても実現するとは思えない夢のまた夢のことでした。その夢は、シャフハウゼンのIWCの協力があってはじめてかなえられたのです。そこで私はIWCにお礼を述べたいと思います。ランゲ復活というプロジェクトのあらゆる段階、あらゆる方面で協力してくださいました。まだ工房も完成していない準備段階では、ランゲの時計職人を温かく迎え入れてくださいました。深く感謝しております。
ランゲ&ゾーネ社の再興は、私の社会人としての義務というだけでなく、故郷ザクセンにとっても大きな意味を持っていました。私は、グラスヒュッテの名を再び最高の時計技術の代名詞にしようと熱心に取り組んでくれた時計作りの仲間たちにも深く感謝の念を表します。1990年12月7日に私たちが会社を再興したとき、手もとにあったのはランゲ&ゾーネのベースとなるノウハウを伝えた、私の曾祖父が記した有名な旅の記録(時計職人としての修業中から書きつけてきた時計製作メモ)だけでした。これは将来ランゲが時計を作る際の一種の憲章ともいうべきものになりました
さらに私が感謝しなければならない方々がいます。それはランゲ時計を忘れずにいてくれた時計愛好家や、ランゲ時計研究家、専門のライターの方々です。過去50年の間、ランゲ&ゾーネが人々の記憶から消え去らないように、その命を脈々とつないでくれていたのはこういう方々です。私たちはそのことを決して忘れません。再び世界最高の時計として復活したランゲの時計には、我々の故郷グラスヒュッテの名と150年前この町の基礎を作った男アドルフ・ランゲの名が刻まれているのです。
ランゲ&ゾーネ グラスヒュッテと。
1994年10月25日、グラスヒュッテにて 新生ランゲ&ゾーネ社の 創設者ウォルター・ランゲ。
]]>ドイツ最高の時計メーカーとしてその名を轟かせたランゲ&ゾーネが永い眠りから目を覚ましました。かつてザクセン王国が誇った高級時計の伝統を現代に蘇らせ、再び人々を魅了する日がやってきたのです。新しい時代の幕間けを告げるランゲ&ゾーネ。
かつて作られたランゲ&ゾーネの時計はオークションにおいて驚異的な高値がつけられ、現在でもコレクターたちの垂誕の的でありつづけています。現在まで残るこうした初期のランゲ時計の数は決して多くはありませんが、それらはドイツ高級時計をまちがいなく代表するものです。しかし、ドイツを長い間東西に引き裂いた過酷な運命が、ランゲ&ゾーネの名を刻んだ時計を50年近くも世界の表舞台から遠ざけてしまっていました。
そして今、ランゲ&ゾーネは美しく彩られ、語り継がれた伝統としてではなく、1845年にフェルディナント・アドルフ・ランゲがドレスデンの南オーレ山脈にあるグラスヒュッテにドイツ高級時計の拠点を築いた、あの頃の熱意を受け継いだ現代の名匠として蘇ったのです。
その創業から145年を経たドイツ統一の年に、ランゲ&ゾーネの工房が創立者アドルフ・ランゲの曾孫にあたるウォルター・ランゲの手で新たに再建されました。その日から、グラスヒュッテの時計職人たちは初の腕時計コレクションの製作に取り組みはじめました。
その作品のひとつひとつには、まさに精密機械工学における最高の技術が凝縮されています。新開発のムーブメントは、腕時計としては画期的な技術を凝らし、前例のない機能が組み込まれています。このように、ウォルター・ランゲの帰還は、かつて1世紀もの間すぐれた懐中時計を世界中に供給し続けたオーレ山脈のこの地に製造の拠点を構え、時計技術史に輝くランゲ&ゾーネの名を復活させました。50年にわたる不在を経て、それまで封じ込まれてきた時計製造のアイデアが奔流となってあふれ出し、腕時計に実現されたのです。
そして、人々を魅了する絶妙なメカニズムの時計が再び生み出されるようになりました。それは、今日求め得る手づくりの最高の時計という評にふさわしいものです。そうした評価が本物かどうか、それは、この後に続くページをお読みいただいてから、皆様がご判断ください。
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